SES20代常駐先成功例SESエンジニア職場環境

常駐先になじめないまま、ずっと笑っていた話

実際の相談傾向をもとに再構成したケースです。特定の個人や事業者を示すものではありません。

最初の常駐先が決まったとき、正直ほっとしていました。入社してすぐに案件に入れるということは、それだけ自分が戦力として見られているのだと思っていたからです。ところが初日に常駐先のオフィスへ行ってみると、自社の人間はひとりもいませんでした。当たり前のことなのに、その当たり前がじわじわと効いてきました。

常駐先の社員の方たちは悪い人たちではありませんでした。ただ、自分はあくまで「外から来た人」でした。ランチに誘われることはなく、チャットのグループにも入れてもらえず、会議では発言のタイミングがつかめないまま終わることが続きました。別に意地悪をされているわけではないのに、毎日少しずつ、ガラスの向こう側にいるような感覚が積み重なっていきました。

自社の担当者に現状を伝えてみたことがありました。でも返ってきたのは「慣れるまでの辛抱だよ」という言葉だけでした。相談する気が失せて、それ以来あまり連絡しなくなりました。常駐先でも自社でも、どこにも自分の居場所がない気がして、毎朝の電車の中でぼんやり窓の外を見ることが増えていきました。

仕事の内容自体が嫌いなわけではありませんでした。コードを書くことは好きでした。ただ、誰かに何かを相談したり、少し雑談したりする余白がまったくない日々が続くと、だんだん自分が何のためにここにいるのかわからなくなってきました。昼休みにひとりでコンビニのおにぎりを食べながら、スマートフォンのニュースを眺めていると、何も入ってこない日が増えていきました。

転機になったのは、ある週の金曜日のことです。常駐先のプロジェクトリーダーから、さりげなく「契約更新どうするか本社と話してるんだよね」と言われました。切られるかもしれない、でも自社の案件に戻れるかどうかもわからない、という宙ぶらりんな感覚が一気に押し寄せてきて、その夜はほとんど眠れませんでした。翌朝、布団の中でスマートフォンを見つめながら、もう限界だと思いました。

退職代行を使おうと決めたのは、自分で退職を申し出る気力がもう残っていなかったからです。自社の担当者に電話することを想像するだけで体が重くなりました。ひと晩考えて、翌朝に依頼しました。手続きの説明は丁寧で、自分は必要事項を伝えるだけで済みました。連絡を代わりにとってもらえるというだけで、肩の力がすっと抜けていきました。

退職が成立したと連絡を受けたのは、依頼から数日後のことでした。自社の担当者から直接連絡が来ることはなく、書類のやりとりだけで完結しました。常駐先に最後のあいさつに行かなくてよかったこと、あのオフィスに二度と足を踏み入れなくてよいことが、じわじわと実感として染み込んできました。久しぶりに、朝起きたときに胸が苦しくありませんでした。

SESという働き方が悪いとは今でも思っていません。ただあのとき、自分には誰かに話を聞いてもらえる場所が必要だったのだと、後からわかりました。どちらにも帰れないと感じていた時間が、自分を少しずつすり減らしていたのだと思います。退職してから、久しぶりに好きなコードをゆっくり書く時間が戻ってきました。

このケースで不安になりやすい点

  • - 会社へどう伝えるか
  • - 本人へ直接連絡が来ないか
  • - すぐ辞めたい時にどう整理するか

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