派遣先のプロジェクトがあと一か月で終わるという話が出た頃から、気持ちが落ち着かなくなりました。契約更新の話は毎回ギリギリまで教えてもらえなくて、その度に自分の予定が宙に浮くような感覚がありました。今回もまた同じことが繰り返されるのだと思うと、胃のあたりが重くなりました。
その現場には三か月いました。技術的にはそれほど難しくない仕事でしたが、チームの空気がどうも自分には合わず、毎朝出社するたびに少しだけ消耗していました。更新されるのかされないのか、誰もはっきり答えてくれないまま日が過ぎていくのが、じわじわと体に来ていました。
担当の営業に何度か連絡を入れてみたのですが、「まだ確認中です」という返事が続きました。確認中、という言葉がどんどん重くなっていきました。不確かなものを待ち続けることへの疲れが限界に近づいていて、いっそ自分から先に辞めてしまおうと思い始めたのはそのあたりからです。
ある昼休み、スマートフォンから営業宛てに短いメッセージを送りました。「今月末で退職したいのですが」とだけ書いて、送信しました。すぐに「一度話しましょう」と返ってきて、その時はまだスムーズに進むだろうと思っていました。
翌日、電話で話してみると、思っていたより話が複雑でした。「契約満了まで待ってほしい」「後任のアサインがまだ決まっていない」「急に言われても対応が難しい」という言葉が続きました。落ち着いて聞こうとしたのですが、それまで溜まっていた不満が途中から抑えられなくなって、話し合いはいつのまにか言い合いのような形になってしまいました。
後から振り返ると、あの電話で感情的になったことが、その後の流れを難しくしたのだと思います。翌日から現場の空気が変わった気がして、先方の担当者もどこかよそよそしくなりました。自分の会社と派遣先の間でどんなやりとりがあったのかは知りませんが、何かが伝わってしまったのだろうと感じました。
結局、契約が切れるまで現場に通い続けることになりました。残りの数週間は、毎日がひどく長く感じられました。誰かと目が合うたびに、何かを考えすぎてしまいました。
退職手続きも想定よりずっと時間がかかって、離職票が届いたのは一か月以上あとのことでした。次の仕事を探し始めるタイミングが大幅にずれて、その間の生活が思った以上に不安定になりました。
辞めようとしたこと自体は間違っていなかったと今でも思っています。ただ、感情が先に動いてしまって、伝える順序や方法を考える余裕がなかったのが悔やまれます。もう少し冷静に、手順を踏んで動けていたら、結果は違ったかもしれないと、今もときどき思います。