SES30代多重連絡失敗例エンジニア派遣

退職を伝えてから、連絡が止まらなくなった

実際の相談傾向をもとに再構成したケースです。特定の個人や事業者を示すものではありません。

辞めようと決めたのは、梅雨が明けるころのことでした。常駐先のプロジェクトがひと区切りついて、次のアサインが決まる前に話を通しておけばスムーズだと思っていました。タイミングとしては、おそらく悪くなかったはずです。

派遣元の営業担当に退職の意向を伝えると、最初は「わかりました、確認します」と落ち着いた返事でした。でもその翌朝から、スマートフォンが鳴り続けるようになりました。営業担当から一件、その上長らしき人物から一件、そして常駐先のリーダーからも直接メッセージが来ていました。三者がそれぞれ別のルートで同時に動いていて、わたしはその全員に個別に返信しなければならない状況になっていました。

何が困ったかというと、三者の話の内容がまったく噛み合っていなかったことです。営業担当は「引き継ぎ期間を二ヶ月とってほしい」と言い、常駐先のリーダーは「プロジェクトへの影響が大きい」と別の角度で引き止め、上長は「面談の場を設けたい」と繰り返してきました。誰が窓口なのか、何に返事をすれば話が前に進むのかが、まるでわかりませんでした。

一週間ほどで、わたしは返信するのをやめました。正確には、どう返せばいいかわからなくなって、メッセージを開くことができなくなっていました。朝、通知を見るたびに胃のあたりが重くなって、そのまま画面を伏せてしまうことが続きました。仕事そのものより、連絡への対応がずっとつらかったです。

結局、曖昧なまま時間だけが過ぎていきました。返事を保留にしているうちに次のアサイン候補の話が浮上してきて、「せっかくだから一度話を聞いてみませんか」という流れに引き込まれました。断る言葉を持てないまま面談に出て、そのまま次の現場に行くことになってしまいました。退職の意向を伝えた最初の会話が、なかったことのようになっていました。

後から振り返ると、複数の関係者が同時に動き始めた時点で、わたし一人で整理しようとしたのが間違いだったと思います。誰かひとりを窓口に絞って交渉するか、それが難しければ自分以外の誰かに間に入ってもらうべきでした。多重連絡の状態を放置すると、話がどこにも着地しないまま相手のペースに飲まれていきます。

その後も同じ会社で働き続けましたが、あのときの感覚は残り続けました。辞めると決めた気持ちがうやむやになった経験は、思っていたより長く尾を引きました。退職はタイミングではなく、連絡をどう整理するかの問題でもあると、身をもって知った出来事でした。

このケースで不安になりやすい点

  • - 会社へどう伝えるか
  • - 本人へ直接連絡が来ないか
  • - すぐ辞めたい時にどう整理するか

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