SES30代多重連絡成功例多重下請け退職連絡

どこに退職を伝えればいいのか、わからなくなった日のこと

実際の相談傾向をもとに再構成したケースです。特定の個人や事業者を示すものではありません。

辞めようと決めたのは、ある月曜日の朝でした。通勤電車の中でスマートフォンを握りしめながら、もう限界だと静かに思いました。プロジェクトは半年以上続いていて、客先常駐の現場、所属している会社、そして間に入っている別の会社と、自分を取り巻く関係先が多すぎて、どこに何を伝えれば退職できるのか、正直なところよくわかっていませんでした。

まず所属会社の担当者に連絡を入れました。電話口の相手は最初こそ穏やかでしたが、話が退職の件に及ぶと急に声のトーンが変わりました。「現場にはこちらから話を通す」と言われたので、では任せようと思っていたのですが、その翌日、客先の現場リーダーから直接わたしのスマートフォンに電話がかかってきました。「急にどうしたんですか」という、探るような声でした。

さらに翌日には、間に入っている会社の営業担当からもメッセージが届きました。「話を聞かせてほしい」という文面は丁寧でしたが、既読をつけてしまうと何かが始まりそうで、しばらく画面をそのままにしていました。一日に三者から連絡が来るというのは、想像していたよりずっと消耗するものでした。夕食の味がしなかったのを、今でも覚えています。

それぞれに違う説明をしているわけではないのに、三方向から同時に「なぜ?」「いつまで?」「引き継ぎは?」と聞かれ続けると、自分の意思がどこかに散らばっていくような感覚がありました。退職の話のはずが、気づくと現場の工数管理や次のアサイン候補の話になっていて、自分が主語ではない会話が続いていました。

一週間ほど経ったころ、もう自分一人では整理がつかないと思い、退職の手続きを代わりに進めてくれる窓口に相談しました。連絡の矢面に立ってもらえるなら、それだけで十分だと感じていました。依頼した翌日から、わたしのスマートフォンへの直接の連絡はぴたりと止まりました。拍子抜けするほど、静かになりました。

後日、手続きが完了したという連絡を受けました。退職日が正式に決まり、必要な書類の案内も届きました。誰かに怒鳴られることも、「裏切り者」のような空気を浴びることもなく、ただ静かに終わっていました。あれほど複雑に絡まっているように見えた関係が、窓口をひとつに絞るだけで、こんなにもすっきり進むのかと思いました。

SESという働き方は、関わる会社が多い分、退職のルートも複雑になりがちです。どこに何を伝えるべきかわからないまま、複数の相手から同時に圧力をかけられる状況は、じわじわと気力を削っていきます。もし同じような状態で動けなくなっているなら、まず相談してみることが、最初の一歩になると思います。わたし自身、そうしてよかったと今は思っています。

このケースで不安になりやすい点

  • - 会社へどう伝えるか
  • - 本人へ直接連絡が来ないか
  • - すぐ辞めたい時にどう整理するか

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