営業30代未払い残業失敗例労働問題残業代

未払い残業に気づいても、何も変えられなかった話

実際の相談傾向をもとに再構成したケースです。特定の個人や事業者を示すものではありません。

毎月の給与明細を見るたびに、どこかおかしいと思っていました。月に50時間以上は残っていたはずなのに、残業代として計上されているのはせいぜい10時間分。営業職は「裁量労働」という言葉をよく使われましたが、私はその制度が自分に適用されているのかどうか、入社してからずっと曖昧なままでした。

30代になって、ようやく自分の労働条件をきちんと確認しようと思いました。雇用契約書を引っ張り出して、就業規則と照らし合わせて、それで初めて「みなし残業の上限時間」というものが記されているのを見つけました。自分が毎月超えている時間は、どう計算しても補填されていないことがはっきりしました。

上司に相談しようとしました。でも、話を切り出すタイミングを計っているうちに、何週間も経ってしまいました。職場の空気として、給与や残業代に言及することはあまり歓迎されない雰囲気がありました。実績で返せ、という言い方をよくされていたので、お金の話をすること自体が「仕事への不満」と受け取られそうで、怖かったのだと思います。

思い切って上司に話を持ちかけた日のことは、今でも覚えています。昼休みの終わり際に声をかけると、「そういうのは人事に言ってくれ」とだけ言われました。表情は変わらなかったし、特に怒った様子もありませんでしたが、それ以降、上司との会話が以前より少し減った気がしました。

人事に話を持ち込むと、「確認します」という返答がありました。二週間待っても連絡がなく、再度問い合わせると、「みなし残業の範囲内です」という一文だけのメールが届きました。根拠の説明はなく、計算式も示されませんでした。それ以上どう動けばいいのか、わからないまま時間だけが過ぎていきました。

労働基準監督署に相談することも頭をよぎりました。ただ、証拠として出せる記録が手元になかったのです。タイムカードの打刻は会社側が管理していて、自分では確認できませんでした。日々の残業時間をメモしておくような習慣もなく、証拠がなければ話を進めにくいと窓口で言われて、そのまま帰ってきました。

結局、未払いだった残業代を取り戻すことはできませんでした。退職を決めたのは、その一連のやり取りから半年ほど後のことです。お金のことよりも、何も変えられなかったという感覚のほうが、じわじわと残り続けました。

退職の手続きも、自分一人でやりきりました。特に揉めることはありませんでしたが、会社から引き留めの言葉もなく、あっさりと受理されました。そのあっさりさが、逆にこれまでの時間をどう整理すればいいかわからなくする感じがありました。

今思えば、もっと早い段階で記録をつけておくべきでした。働きながら労働条件の知識を持つのは難しいことでしたが、自分の時間に見合った対価を受け取るために動くことは、恥ずかしいことではありませんでした。そのことに気づいたのが、職場を出てからだったことが、いちばん悔やまれます。

このケースで不安になりやすい点

  • - 会社へどう伝えるか
  • - 本人へ直接連絡が来ないか
  • - すぐ辞めたい時にどう整理するか

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