営業30代未払い残業成功例残業代未払い

サービス残業が当たり前になっていた頃のこと

実際の相談傾向をもとに再構成したケースです。特定の個人や事業者を示すものではありません。

営業職に就いて五年が過ぎた頃、月に六十時間を超える残業が当たり前になっていました。それでも給与明細に残業代の欄はなく、「営業は成果で評価される仕事だから」という言葉だけが繰り返されていました。最初のうちは、それが普通なのだと思っていました。

おかしいと気づいたのは、同期と給与の話をしたときでした。別の会社に転職した友人は、残業した分はきちんと支払われると話していました。その言葉が、しばらく頭から離れませんでした。帰りの電車の中で、自分がどれだけの時間を無償で会社に渡してきたかを考えると、胸のあたりが重くなりました。

上司に一度だけ確認したことがあります。「残業代の申請ができないか」と、できるだけ穏やかに切り出しました。返ってきたのは「うちは裁量労働制みたいなものだから」という曖昧な答えでした。それ以上は聞けませんでした。聞いた自分が悪いような空気が、その場を覆っていたからです。

それからは、毎月の給与明細を見るたびに気分が沈むようになりました。数字だけを見れば悪くない額に見えるのに、実際に使った時間を時給に換算すると、アルバイトの頃と大差ないと気づいてしまったからです。疲れているのに眠れない夜が続き、朝起きると体が鉛のように重く感じました。

退職を本格的に考え始めたのは、その年の夏でした。有給休暇の消化もままならず、休日に取引先からの電話が鳴るたびに、どこか遠くに行ってしまいたいという気持ちが強くなっていました。しかし、自分で退職の話を切り出すことへの怖さがあって、なかなか踏み出せずにいました。

退職代行というサービスがあることを知ったのは、ちょうどそのタイミングでした。自分で言わなくていいという仕組みが、最初は少し信じられませんでした。それでも、もうこれ以上同じ場所に留まる気力が残っていないこともわかっていました。連絡を入れたのは、ある夜の遅い時間でした。

翌朝、会社に出勤しなくてよくなりました。代わりに、担当の方が会社との窓口になってくれました。上司に直接話さなくていい、という事実だけで、体からすっと力が抜けていくような感覚がありました。退職に関する書類のやり取りも、ほぼすべて郵送で完了しました。

退職が正式に認められたとき、長い間ずっと肩の上に乗っていたものが消えたような気がしました。未払いの残業代については、退職後に然るべき窓口に相談することにしました。すぐに全額が戻ったわけではありませんでしたが、動き出せたことで、少し前を向けるようになりました。

今は、残業した分はきちんと対価として受け取れる職場で働いています。当たり前のことが当たり前に守られる環境が、これほど違うものだとは思っていませんでした。あの夜、連絡を入れた自分の選択は、間違っていなかったと思っています。

このケースで不安になりやすい点

  • - 会社へどう伝えるか
  • - 本人へ直接連絡が来ないか
  • - すぐ辞めたい時にどう整理するか

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