営業40代未払い残業失敗例労働問題

未払いの残業代を取り戻せないまま、会社を去った話

実際の相談傾向をもとに再構成したケースです。特定の個人や事業者を示すものではありません。

40代に入ってから、自分の働き方を振り返ることが増えました。毎月の給与明細を見るたびに、何かが引っかかっていました。どれだけ遅くまで残っても、どれだけ休日に顧客対応をしても、残業代の欄はいつも同じ金額のまま。みなし残業という名目で一定額が含まれているとは言われていましたが、実際の労働時間とはあまりにもかけ離れていました。

当時の私は営業の仕事が好きでしたし、数字を追うことに生きがいも感じていました。だから「こういうものだ」と自分に言い聞かせて、長年そのまま続けてきました。でも40代も半ばに差し掛かったころ、体がついてこなくなってきました。朝、起き上がるのがしんどい日が続くようになり、鏡の前に立つと顔色の悪さに自分でも驚きました。

退職を決意したのは、ある月の終わりでした。月末の数字を締めた夜、オフィスに一人残って資料をまとめながら、ふとスマートフォンの時計を見ると深夜1時を回っていました。もう限界だと思いました。同時に、これだけ働いてきた分の対価を、きちんと受け取って辞めたいとも強く思いました。

退職の意思を上司に伝える際、未払いの残業代についても話し合いたいと申し出ました。上司は少し間を置いてから、「みなし残業の範囲内だから問題ない」と言いました。想定はしていた言葉でしたが、実際に言われると胸の中に重たいものがつかえる感じがしました。私はそれ以上その場では踏み込めませんでした。

後日、自分なりに過去の労働時間を計算しようとしました。しかし、記録が残っていませんでした。会社の勤怠システムには毎日の退勤時刻が入力されていましたが、実態とかけ離れた時間で入力するよう、暗黙のうちに求められていたことに気づきました。手元には何も証拠がありませんでした。

知人から、専門の相談窓口があることを教えてもらい、問い合わせてみました。担当の方は親切でしたが、証拠がない状態での請求は難しいこと、時間と労力がかかること、また精神的な負担についても率直に話してくださいました。すでに退職の手続きも進んでいた私には、長期にわたる争いを続けるだけの気力が残っていませんでした。

結局、未払い残業代の請求は諦めました。退職自体は穏やかに完了しましたが、後味の悪さは長く残りました。あのとき、退職を決意した時点から動いていれば、もう少し状況は違ったのかもしれないと、今でも思うことがあります。記録を地道につけておくことの大切さを、身をもって知りました。

新しい職場に移ってしばらく経った今も、当時を思い出すことがあります。自分が声を上げなかったことへの後悔と、それでも前に進んできたことへのわずかな安堵が、ごちゃ混ぜになっています。これから同じ場所で同じ悩みを抱えている誰かが、私より早く、そして正しい手順で動いてくれればいいと思います。

このケースで不安になりやすい点

  • - 会社へどう伝えるか
  • - 本人へ直接連絡が来ないか
  • - すぐ辞めたい時にどう整理するか

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