その仕事を始めたのは、とにかく早く働きたかったからでした。正社員の選考が続かなくて、気持ちが焦っていた時期に派遣登録をして、すぐに紹介された職場でした。最初は短期のつもりでいたのに、気がつけば契約更新を繰り返して、半年以上が経っていました。
問題が起きたのは、派遣先の現場リーダーと、派遣元の担当者とのあいだで、言っていることが少しずつ違ってきた頃からです。現場では「もっと残業に対応してほしい」と言われ、派遣元からは「契約時間内で収めるように」と言われました。どちらにも「はい」と答えるしかなくて、板に挟まれているような感覚が毎日続きました。
退職を考え始めたのは、その頃からです。このままどちらの期待にも応えられなくなる前に、自分から動こうと思いました。ただ、派遣という働き方の仕組みをよく理解できていなかったので、誰にどう伝えればいいのかがわかりませんでした。
まず派遣元の担当者に「次の更新はしないかもしれない」と相談してみました。すると「派遣先にはまだ言わないでほしい」と言われました。了解して黙っていると、今度は派遣先のリーダーに「次の契約どうするの、早めに教えて」と詰められて、どちらにも正直に話せない状況になっていきました。
結局、契約満了の1か月前になっても、退職の話はきちんと整理されていませんでした。派遣元からは「もう少し続けてもらえないか」と引き延ばされ、派遣先からは「急に辞めると困る」と言われました。自分の意思を伝えているはずなのに、どこにも届いていない気がしました。体がだるくて、朝が来るたびに胸のあたりが重くなっていました。
最終的に退職はできたものの、契約満了まで引っ張られる形になってしまいました。自分が望んでいたタイミングよりも2か月近く遅れていました。その間、派遣先でも派遣元でも、居場所がないような感覚で働き続けるのは、今思い返してもきついものがありました。もっと早く、もっとはっきり動けばよかったと思っています。
派遣の退職は、正社員とは仕組みが違います。それをきちんとわかっていなかったことが、今回の失敗の根本だったと思います。誰に言えばいいのか、いつ言えばいいのか、自分だけで考えて動こうとしても、間に入る人が多い分だけ話がこじれやすい。そのことを、身をもって知りました。
あの時、もし誰か間に入ってくれる人がいたら、もう少し楽に終われたかもしれません。自分一人で抱えて、どちらにも気を使って、疲弊していくだけでした。同じような状況にいる人には、早めに誰かに相談することを勧めたいと思います。