派遣という働き方を選んだのは、ある程度自分のペースで仕事を続けられると思ったからです。30代になって、生活を安定させながらも、無理のない範囲で働きたいと思っていました。最初のうちは、その目算がそれなりに当たっているように感じていました。
ただ、派遣先での業務が半年を過ぎた頃から、少しずつ違和感が積み重なっていきました。契約時に説明されていた仕事内容と、実際に任されることが少しずつずれていたのです。残業が増え、本来の担当外の対応を求められる場面も出てきました。それ自体はよくあることだとは思いましたが、体が慣れていくにしたがって、心の方が追いつかなくなっていきました。
派遣元の担当者に相談したのは、そのズレが無視できなくなってきた頃でした。電話口で話を聞いてもらいながら、少し楽になれるかと思っていました。ところが、返ってきた言葉は「派遣先に確認してみます」という一言で、そのあとしばらく連絡がありませんでした。
一週間ほどして届いた報告は、「派遣先からは特に問題ないと聞いています」というものでした。わたしが感じていたことと、派遣先が認識していることが、まったく別の話になっていました。どこかで言葉が抜け落ちたのか、それとも最初からうまく伝えてもらえなかったのか、確かめる術もなく、ただ宙ぶらりんな気持ちだけが残りました。
それでも続けていたのは、辞める手続きがどこか面倒に思えていたからです。派遣元に退職の意思を伝えても、「契約期間中なので難しい」「次の更新前にもう一度話しましょう」という言葉を繰り返されました。更新のタイミングを待てばいいのかと思いながらも、その期間がひどく長く感じられました。
結局、退職できたのは、最初に相談してから三ヶ月以上経った後のことでした。契約満了のタイミングを使ってようやく離れることができましたが、その間に体調を崩す時期もありました。もっと早く、別の方法を探せばよかったと、今は思います。退職代行のような手段があることを、当時のわたしはほとんど知りませんでした。
派遣の退職は、正社員のケースとは少し仕組みが違います。派遣元が間に入っている分、自分の意思が直接届かないことがあります。それがわかっていれば、もう少し違う動き方ができたかもしれません。この経験が、似たような状況にいる誰かの参考になればと思っています。